料亭日和 ~失恋を癒す料理の巻~

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飯屋は広い畳の部屋になっていて、中央に巨大な頭をしたおばあさんが座っていました。 「小娘。何しにきたのです?ここは一見さんお断りどすえ!」 もう、私は何で怒られているのか分からないです。 でも、デカ頭お婆の頭があまりにもデカいので怖くなって謝りました。 「申し訳ございませんっ!」 「謝ればよろしいものでは、ないおすえ。」 そう言いながら、女将は(デカ頭お婆のこと)お茶をたてて私の前に差し出しました。 それは、これまで飲んだことのない抹茶でした。 何というか変に粉だらけで薄く、一言で言うとまずかったのです。 「け、結構なお手前で・・・。」 そう言わないと怒られそうだったのです。女将は満足そうに頷きました。 「それでは、2階にお上がりやす。」 「は?」 「うちはコース料理なのどす。一品食べる度に1階ずつ階段をあがるのどす。」 女将の頭が揺れました。 「そ、それは斬新ですね。な、何回まであるのですか?」 「14階どす!」 2階で出された料理はカニカマボコでした。 女将が丁寧にセロファンを剥がし、私の前に一切れ置きます。 「おあがりやす。」 「け、結構なお手前で。」 3階はグリーンピースが一粒。4階はミニトマトを三分の一に切ったものが一切れ。 そんなことが13階続いたのです。
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