幼なじみ

3/3
前へ
/3ページ
次へ
 その日の夜、私はベッドの中でなかなか寝付けなかった。ユウくんのおとうさんがカズくん。サキとユウくんが結婚すれば、わたしはカズくんの親戚になる。親戚。それでいいのか。本当にそれだけでいいのか。  午前0時を少しまわったころだった。枕元のスマホが音をたてた。驚いて手にとってみると、今日、いや昨日、アドレスを交換したカズくんからだった。私はおそるおそる電話にでた。  「ごめん、マリちゃん。寝てた?」  「大丈夫、起きてたよ」  それから小一時間、私とカズくんは、小声で思い出話に花を咲かせた。  「それでさ・・・今度、ふたりでお茶でも飲みにいかない?」  カズくんが提案した。ドキッ。これってもしかしてデートのお誘い?  「嬉しい。うん、今度ふたりで行きましょう」  電話をきってしばらくは、頬の火照りがひかなかった。数十年ごしのふたりっきり。すっかり大人になった私達は、これからどうなっていくのだろう。  しばらくぶりの胸のときめきを、私は噛みしめ、枕に顔をうずめた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加