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その日の夜、私はベッドの中でなかなか寝付けなかった。ユウくんのおとうさんがカズくん。サキとユウくんが結婚すれば、わたしはカズくんの親戚になる。親戚。それでいいのか。本当にそれだけでいいのか。
午前0時を少しまわったころだった。枕元のスマホが音をたてた。驚いて手にとってみると、今日、いや昨日、アドレスを交換したカズくんからだった。私はおそるおそる電話にでた。
「ごめん、マリちゃん。寝てた?」
「大丈夫、起きてたよ」
それから小一時間、私とカズくんは、小声で思い出話に花を咲かせた。
「それでさ・・・今度、ふたりでお茶でも飲みにいかない?」
カズくんが提案した。ドキッ。これってもしかしてデートのお誘い?
「嬉しい。うん、今度ふたりで行きましょう」
電話をきってしばらくは、頬の火照りがひかなかった。数十年ごしのふたりっきり。すっかり大人になった私達は、これからどうなっていくのだろう。
しばらくぶりの胸のときめきを、私は噛みしめ、枕に顔をうずめた。
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