共にこの誘拐を成功させようではないか!

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この餓鬼は、少なくともオレより遥かに悪巧みがウマいヤツだ。狡猾というか、末恐ろしい餓鬼だぜ。‥‥こんなのが大人になって社会に出やがるんだ。オレらみたいな貧乏人が勝てないのも道理ってモンだぜ。 気の所為か、光一の背後に大きなコウモリの羽根が見えるような気がして仕方がない。 もしかしたらホントに悪魔が存在して、光一の身体を乗っ取ってるんじゃないかとすら思えてくる。 が、しかし‥‥何処までコイツを信用していいんだ? コイツ単体で『協力』となっても、親が出張れは話は変わってくるだろうし。 「てめぇが‥‥いや、お前が『裏切らない』って保証でもアンのかよ?」 「あるよ? 成功報酬さ! ズバリ『2割』で手を打つよ。それならボクにも充分にメリットがあるだろ?」 2割というと、取引成功で10億として2億円か? くそっ!餓鬼の小遣いにしちゃぁ、贅沢過ぎるだろうけど‥‥これが、金銭感覚の違いってヤツか? それにしてもなぁ‥‥ 「まぁ‥‥最初に言ったが、オレは1億もあれば充分なんだがな。しかし‥‥」 オレは、腐りかけてフワフワになっている古畳に腰を下ろした。 所々で葦草が千切れ、小さな屑が散らばっている。 「しかし? どうしたの、溜息なんかついちゃってさ」 「‥‥自信無くしたよ、何だかさ」 そのまま、ゴロンと横になる。 天井の雨漏り染みが、何だか涙のように見えてくる。     
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