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階梯山駅近くを捜査した部下から連絡が入ったのは、その15分後だった。
「おぅ、着いたか。‥‥で? メールに指示されたような仕掛けは?‥‥手すりに釣り糸のようなものが結んであるだと? そうか、間違いないか‥‥
で、付近に人の気配は? ‥‥それは無いか。判った。引き続き近くに潜んで待機していてくれ」
仕掛けはあったか‥‥
堂上は、肩で大きく息を吐いた。
「‥‥それにしても、目印だと思っていたハンカチはカバンを縛るための道具だったとは。犯人め‥‥だがな、そんなチャチな仕掛けで警察を出し抜けると思ったら大間違いだぞ。現金に手を掛けた瞬間にフン縛ってくれるわ!」
どういうつもりだ、光一‥‥!
色めきだつ警察とは対照的に、修造の背中には冷や汗が流れていた。
『メールなら警察も簡単には内容をチェックできない』という読みがあるのか‥‥確かにメールを見せろ、とも言われてないし、覗き込むようなヤツもいなかった。‥‥だがしかし、ここは兎に角、指定されたとおりにするしかない‥‥。
やがて、電車はダイヤ通りに階梯山駅に停車した。
こんなにも『2時間』が短いと思ったのは生まれて初めてじゃないのか、と修造は思う。
修造は仕方なくホームに降り立つと、言われた通りに錆びた手すりを探って歩いた。
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