最初の『取引』

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「えっ? は、犯人? なんですか、それ?」 狼狽える警察官を乗せ、覆面パトカーは本部へと戻っていった。 「‥‥彼が『犯人』という事はありませんかね? あういう立場なら、いざという時に誤魔化しも利きますし‥‥」 小阪が悔しそうに堂上に尋ねた。 「一応、事情聴取はするが‥‥ま、違うだろうな。犯人はもし、本当に警察がこの事件に関与していなければ、後で交番に行ってカバンを堂々と引き上げるつもりだったんだろうよ。くそ‥‥このオレが一杯食わされるとは!」 堂上は吐き捨てる様に言い残して、自分の車へと乗り込んだ。
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