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少し心配げに、小阪が問いかける。
「うむ」
堂上の声に張りが出てきた。
「そこは堅い。次は必ず来る‥‥特に、前回の失敗で警察の動きはかなり制限されている。犯人はこの事態を絶対に利用しようとしている筈だ」
「次こそ、ですね!」
小阪の声にも力が入ってきた。
「おう、よ。前回の恨みを晴らしてくれる。見てろよ、犯人め‥‥この前は人質の安全を考えて管内にも内緒していたが、今回は違うぞ? 科捜研や情報課の連中まで総動員であたるんだ。目にモノ見せてやる!」
堂上は電話を切ってから独り、椅子にデンと座ったまま考え込んでいた。
‥‥前回は単純に考え過ぎた。それが失敗につながった。今回はもっと慎重にいかねば‥‥
目の前では特別捜査本部の仲間が、遺留品のチェックや電話聞き込みといった情報確認を熱心に続けている。
‥‥犯人はどうやって、現金の受け渡しをしてくるのか? 恐らく次は直前になって詳細を指示してくるに違いない。と、なると‥‥指示はまたメール‥‥か?
ふと、堂上は身体を起こした。
いや!それは違う。
犯人のメールは海外を幾重にも経由してやってくる。だから発信元を特定するのは困難と言えるが、逆にそれは着信時間が読めないというリスクもある。
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