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前回、あれだけ前もってメールを流してきたのは、そのリスクを恐れたからだ‥‥。と、なると次は直接電話を掛けてく指示してくるはずだ!
「上坂っ!情報課の上坂居るかぁ!」
堂上の大声が響き渡った。
「旦那が持っている、連絡用携帯の電話会社に至急連絡を取れっ! 着信したらすぐに発信地を特定できるように手配するんだ!」
フフフ‥‥見ておれ、今度こそ先手をとってやるぞっ!
するとその時。
「警部、警部。お電話です!」
ほくそ笑む堂上に、部下が受話器を渡した。
「ん?何処からだ」
堂上が受話器を受け取る。
「いや、それが‥‥高槻家からです。何でも警察の力を借りたいとか」
「へっ? なんじゃそりゃ?」
意外な申し出に、堂上は慌てて受話器を耳に当てた。
「代わりました、堂上です。えぇ‥‥はい、それは構わんですが。しかし、犯人が‥‥はぁっ?」
堂上が素っ頓狂な声を出した。
「パトカーと一緒に来いぃ!? なんですか、そりゃ?! わ、分かりました。兎に角、すぐそっちに行ってメールを見ますんで。はい‥‥では」
電話を切ってから、堂上は暫し呆然としていた。
「犯人め‥‥またしても警察を出汁にする気か? しかし、どういうつもりだ? よほどの自信があるのか?‥‥分からん」
ひと目で自分用と分かる大きな上着を羽織ると、堂上はあたふたと捜査本部を出て行った。
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