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陽の光は完全に山陰に入り、修造の停車している車の辺りも薄暮に沈みつつある。
すると‥‥
「警部っ! 来ました! 犯人から次の指示です」
捜査本部に緊張が走った。
「『高望山を越えて、隣の市の大型ショッピングセンターの駐車場まで行け』とのことです!」
「電話か!」
バネで弾かれたかのような勢いで、堂上が椅子から立ち上がる。
「いえ、今回もまだメールです‥‥」
部下がインカムを手に、左右へ首を振る。
「そうか。ではまだ、次の指示が出るな‥‥」
再び、堂上が椅子に座る。
古い事務椅子が、ギギ‥‥と軋み音を立てた。
「‥‥警部、まだ続きがあります。『旦那さんが軽トラで高望山への登山道に入ったら、覆面パトカーで山道の入り口を封鎖しろ』という指示だそうです」
「道の封鎖だと?‥‥どういうつもりだ?」
脂ぎった額に、眉をひそめる。
「道中で待ち構えているつもりでしょうか‥‥?」
「かも知れんが‥‥なら、その前にホントの覆面パトカーを走らせれば分かることだ。上手くいけば引っ掛かって出てくるかも知れん。
急げ!あそこから山道の入り口までなら、少し距離があるはずだ。それから、旦那を先導するパトカーには少しゆっくり走るように言え!」
堂上は考えた。
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