受け渡しの開始

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「道中の待ち伏せは大いに考えられる。しかし‥‥10億だぞ?どうやって受け取る気だ? ひったくって逃げるにはあまりに重すぎる‥‥」 地図で見る限り山道は1本道だ。 犯人が出たとしても、逃げ道は無い。 「ならば、勝負は山を越えた反対側ということか‥‥パトカーは山道のこちら側に置き去りして、追っ手を塞ぐ‥‥山を降りた瞬間に所有者がいい加減な携帯とかを使ってメールで指示を出せば、こちらにはその指示が伝わらない、という意図か?」  あとは、どう逃げる算段を着けるか‥‥だが。 「そのまま何処か方向を変えさせて、警察を振り切って現金の受け渡しを行う‥‥か?」 いや、と堂上は考え直した。 普通の犯人なら、それもあるだろう。 しかし、相手は自分をああまで見事にハメたヤツだ。そんな不確実で乱暴な手を使うとは思えない。きっと、何か別の手を‥‥ 思いを巡らしていると、偵察の覆面パトカーから連絡が入った。 「警部! 偵察の覆面パトカーから、連絡です!」 連絡を受けた担当者はやや興奮したていた。 「どうした、何か見つかったのか?」 「山道の途中に間道があるそうですっ!」 「何っ! 間道!? ‥‥そんなモン、地図にはないぞ?!‥‥よし、電話を代われ!」 堂上は受話器を奪い取った。     
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