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「オレだ! 間道があるだと?!‥‥うん、錆びた三角の通行止め標識がある? それで‥‥山裾の方へ降りて行く間道が延びているか。そこから下には降りて行けるか? 無理?道が狭い?どれくらいだ?‥‥軽トラくらいなら何とか‥‥か」
だとすれば、その軽トラを使って山道を降りるつもりなのか‥‥?
「で、それが何処に通じているか分かるか?‥‥暗くて良く分からないか。そうか、しょうがないな。もうそろそろ、旦那の車が入ってくる。邪魔をしているのが見つかると今度こそ、ヤバイからな。早々に撤収をしないと‥‥
えっ?何? 通行止め標識に『高望川漁協』と書いてある? 分かった、後はそこに電話をかけて確認する。兎に角お前らは直ぐにそこを立ち去れ。いいな?」
電話を切ると堂上が大声怒鳴った。
「高望漁協だ! すぐに連絡を取れ!急げ!」
すると、部下の一人が恐る恐る手を挙げた。
「あのぅ‥‥私の父がそこの職員ですが」
「なに、職員っ! もしかしてお前、その間道を知っているか?!」
「えぇ、自分は直接は知らないんですが、父が言うには山道の途中から下を降りた所にアユ漁の船着場があるそうです。道は漁協の人間が切り開いたものなので、ひどく狭いものらしいですが、川原は結構広いそうです。
漁協の船はすべてそこに置いてあると言ってました。もっとも、そこの間道かどうかは判りませんが‥‥」
「間違いないっ!」
堂上は眼の前の机をドン!と叩いた。
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