取引は完了した?

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その頃、修造は山道を登り始め、件の間道に差し掛かろうとしていた。 すると、道の真ん中にクルクルと光が回っているのが見えた。どうやら人間が居るらしい。 アレか‥‥ 修造は車を止めた。 その男は軽トラの周りをしばらくグルグルと回った後に、無言のまま助手席に乗り込んだ。そして指で間道を指し、そこへ行けと指示した。 「あ‥‥」 修造が何か言いかけると、男は修造の口に指を当てて『黙れ』と指示した。 修造はコクっと一つ頷いてから、狭い間道へと軽トラを進めた。 それから10分程も経ったろうか、捜査本部に再び緊張が走る連絡が入った。 「警部!来ました、旦那の携帯に通話の着信ですっ!」 「ついに来たかぁっ?!」 堂上が椅子から飛び上がる。 「来ました、通話です! 会話をそちらにも送ります。」 堂上は慌ててヘッドホンに耳を当てた。声の主は、光一だった。 「‥‥パパ? パパ?‥‥聞こえる? ボクだよ。光一だよ。‥‥聞こえる?」 か細い声だったが、内容は完全に聞き取れていた。 「発信元を特定しろ、急げ!」 堂上の指示で、部下が携帯電話会社に連絡をとり始めた。 「あぁ、聞こえるとも! パパだよ。大丈夫かい? 心配ないよ、すぐに助けにいくからね」 修造の声も明瞭に聞こえていた。     
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