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「そうか、近いな‥‥とりあえず近くに居る署員には付近を探らせろ。急げと言え。それと、携帯屋とはまだ繋がったままか? 通話していない携帯の場所を特定できるか、聞いてみろ。
‥‥どうだ?‥‥何、可能か。そうか、通話していなくても電波で追えるか、分かった。なら捜査協力を要請しろ。ただちに現場付近を調査させるんだ」
よし‥‥っと堂上は気合を込めた。
「多分、人質に付いているのが犯人2号の方だ。現金はもうすでに1号が確保して、船に乗せているに違いなかろう。船を追うのはお前らに任せる。人質が救出できるまでは手を出すな。いいな? オレは人質の方へ向かう!」
「えっ‥‥ちょ、ちょっと待ってください」
小阪が呼び止めた。
「どうして、現金が犯人の手に渡ったと‥‥」
「馬鹿野郎。ちったぁ頭を働かせろ!」
堂上は小阪の頭を拳でこずいた。
「さっき電話で『何時指示が出るか判らないからすぐに電話に出れるようにしておけ』と言って勿体をつけてたろうが? だが『通話』は、我々に直接傍受される可能性が高い。それで尚も『そういう事を言う』ってのは、フェイクなんだ!
あれはつまり、『取引の本番はこれからだぞ』と思わせて、オレ達に騒がせないようにしている目的と見て違いあるまい。だから、取引はすでに済んでると見ていいんだ!」
早口で説明すると、堂上は矢のように本部を飛んで出た。
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