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人質、帰還
問題のワンボックス車はエンジンを切ったまま、停車していた。
「‥‥アレで間違いないか?」
遠巻きに監視している部下に、急いでやって来た堂上が聞いた。
「はい。電波は今も出ているそうです。」
担当の部下が大きく頷く。
「そうか。犯人は狡猾なヤツだからな‥‥携帯を車に置いたまま自分は別の場所に居ることも考えられるが‥‥囮だとすれば、またしても引っ掛かることになる」
躊躇する堂上へ本部から連絡が入った。
「警部!再び着信です!」
「何っ! こっちへも廻せるか?」
慌てて、ヘッドフォンを耳に当てる。
「‥‥パパ、ボクだよ、聞こえる?」
「光一か?! パパだよ、聞こえているよ!」
修造の声もハッキリと聞き取れている。
「今ね、ボクは車の中に居るんだ。犯人は、ボクを縛ったままどっかにいっちゃたんだ。今、ようやく手首が動くようになったんだよ」
「そうか! じゃぁ解放されたんだな! よし、判った! それで、そこは何処なんだ?」
「それが‥‥この位置からじゃ良く分からなくって‥‥」
「そうか‥‥いや、でも大丈夫だ。この電話は警察が監視している筈だ。きっと電波を辿ってそこにたどりつける筈だ。だから‥‥」
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