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人質、帰還
「‥‥例の間道な。あれを使ったってのは間違って無かった。犯人は間道の入り口で待ち伏せをして、旦那の軽トラをそこで停車させ、旦那の車の助手席に乗り込み、間道を下へ向かわせたんだが‥‥そこから先が予想と違ってたんだ」
堂上はぶすっとしながら、煙草に火をつけた。
「‥‥川原にゃぁもう1台、軽トラがあったそうだ。犯人はそれに乗り換えるよう、指示したらしい。それで、犯人の用意していた軽トラに乗って間道を戻り、山道を下っていったんだと。
犯人は旦那の用意した軽トラに乗って、少し時間を置いてからその場を離れたんだろうな。無灯火なら、警察に気づかれる心配はねぇ‥‥ま、夜目が利くヤツなんだろうな‥‥」
「じゃぁ、パトカーに登山道を封鎖させたのは‥‥?」
「そう、後から逃げるのを後ろから見つからないようにするためさ。無灯火車が走ってりゃぁ、一般人が見たって不審だからな‥‥。それにな、『登山道を封鎖させろ』と言えば誰だって途中に何かあるな、と疑う。
その上でワザと間道を確認させて、漁船の存在をアピールする。今になって良く考えればイザという時に逃げ場の無くなる漁船なんざぁ、使う筈がねぇんだ。くそったれめ!」
「‥‥計画は2段構え、いや、3段構えだったと‥‥?」
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