そして、みんなのために

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そして、みんなのために

「ところでさ、オジさん」 光一が『解放される』3日前の晩、光一はオレに尋ねてきた。 「貰ったお金の使い方、考えてる?」 「使い方? そりゃお前、前にも言ったが家具の仕入れに‥‥」 「だからさぁ、それじゃぁせいぜい1千万単位の話だろ? 10億だよ? それにオジさんの分はいいけども、ボクやパパの分もあるんだよ? それをどうするか、さ。」 「え‥‥?いや、特には‥‥」 「頼りないなぁ。」 光一はやれやれ、というように溜息をついた。 「いいかい? パパの援助を受けて、店を海外展開させるんだ。ま、あくまでも形だけ、だけどね。お金はとりあえず、仕入れた家具の中にでも隠しておけばいい」 「海外って‥‥で、どうするんだ?」 いきなり『海外』とか言われても、何をどうして良いのやら。とりあえず、英語を喋る自信すら無いというのに。 「分からないかなぁ‥‥今は外為法が変わって、昔みたいに大きな額の日本円を持ち出すにも届け出なんかは不必要なんだ。だから、各国に出した支店の窓口を使って『現地通貨』に両替えしちゃうんだよ。ま、間にタックスヘイブンな国のグレーな銀行?を入れる必要とかはあるかも、だけど?」 さも当然、と言わんばかりに光一が説明を続けるが。     
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