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それは意外な協力者
光一を『載せる』のは、上手く行ったと思う。
そのままワンボックスを走らせて、郊外にあるコイン洗車場に入る。
周囲を警戒しつつ、高圧洗浄機で慎重に偽装ペイントを洗い流す。
真っ白な車体に戻った後、車を走らせて山道へと向かう。洗車場からは約2時間の距離だ。
普段は人も車も通らないデコボコ道を揺られること、30分‥‥遥か以前に打ち捨てられた森林管理事務所に着く。
後部座席で転がしてあった光一を抱きかかえ、壊れかけた扉を押して中へと入る。
手足はロープで縛り、猿轡をさせてある。
「‥‥さて、アジトに着いたぞ。此処は山の奥だからよ、大声を出した程度じゃぁ誰にも聞こえやしねぇってモンだ。だから猿轡だけは外してやるが‥‥それでもギャアギャア騒ぎやがったら、また元に戻すからな?」
オレの問いかけに、光一がウンウンと頷く。
とりあえず、自分の置かれた立場に理解をしてくれたようだ。ふん、話が早くて助かるぜ。これで何のカンのと騒がしくされたら面倒臭くてたまらんからな。
ふぅー‥‥と、光一が息を吐く。そして恐る々オレに尋ねてきた。
「‥‥オジさん、ボクを殺すの?」
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