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犯人像は絞られる
光一の父親である修造が家に戻ったのは、翌日の朝だった。
居間には『堂上』と名乗る刑事がソファーにふんぞり返り、まるで自宅で寛ぐかのように落ち着いてタバコをふかしている。
時折、堂上の携帯が着信して何やら打ち合わせをしているようにも見えるが、何かがそれで進展している様子もない。
しばし、様子を見ていたが‥‥
「うほん!」
修造が堂上の前に立ち、咳払いをする。
「失礼だが‥‥我が家では教育上ヨロシクないので、誰もタバコを嗜まんのです。匂いが壁紙に染みても困るので、喫煙であれば中庭を利用頂きたいですな」
それを聞いて、慌てて堂上がタバコを揉み消す。
「おっと、これは気のつきませんことで‥‥」
「ところで」
修造が堂上の前に座る。
「肝心の捜査はどうなっているんです? 見たところ、何かしているようにも見えませんがね?」
だが、堂上はデンと座ったまま余裕の顔だ。
「ご心配なく。これでも捜査はかなり進んでいますので。ま、少し説明をいたしましょう」
本当に大丈夫なんだろうか?
修造は、『どっち向きにも』不安な気がしてならない。
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