24人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
もう一人の犯人像
次の日、その日は朝から物々しかった。
警察は指定されたJRの駅を始発前から監視していたし、沿線上にも不審な物や不審人物がいないか、厳重にチェックがなされていた。
「‥‥果たして、犯人は来るでしょうかね、堂上さん?」
修造は、駅近くのパーキングに止めた車内の運転席から辺りを見渡す。
堂上は、その後部座席に隠れるようにして座っていた。
「多分、来ません」
カバンを抱えて落ち着かない様子の修造に、堂上は素っ気なく返す。
「そ、そうですか‥‥。まぁ、ご経験から、そう思われるのでしょうが。でも一応、私としては犯人の言う通りに行くしかない訳で」
「そうですな。とりあえず、終点までは乗り続けて下さい。万一、犯人から何らかの接触あった場合については、近くに同乗する警官‥‥婦人警官になると思いますが、ちゃんとフォロー出来るようにしますので、ご安心ください」
堂上は、そう言いながらも周囲に気を配っているのが分かる。
「有難うございます。例え万一と言えども接触して来る可能性はある訳ですから、私としては心強く思いますよ」
何しろ『向こう側』には。愛息が着いているのだ。万が一にもヘマはあるまいが‥‥。
最初のコメントを投稿しよう!