もう一人の犯人像

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もう一人の犯人像

次の日、その日は朝から物々しかった。 警察は指定されたJRの駅を始発前から監視していたし、沿線上にも不審な物や不審人物がいないか、厳重にチェックがなされていた。 「‥‥果たして、犯人は来るでしょうかね、堂上さん?」 修造は、駅近くのパーキングに止めた車内の運転席から辺りを見渡す。 堂上は、その後部座席に隠れるようにして座っていた。 「多分、来ません」 カバンを抱えて落ち着かない様子の修造に、堂上は素っ気なく返す。 「そ、そうですか‥‥。まぁ、ご経験から、そう思われるのでしょうが。でも一応、私としては犯人の言う通りに行くしかない訳で」 「そうですな。とりあえず、終点までは乗り続けて下さい。万一、犯人から何らかの接触あった場合については、近くに同乗する警官‥‥婦人警官になると思いますが、ちゃんとフォロー出来るようにしますので、ご安心ください」 堂上は、そう言いながらも周囲に気を配っているのが分かる。 「有難うございます。例え万一と言えども接触して来る可能性はある訳ですから、私としては心強く思いますよ」 何しろ『向こう側』には。愛息が着いているのだ。万が一にもヘマはあるまいが‥‥。     
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