最初の『取引』

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最初の『取引』

ま、まさか‥‥っ! 思わず、修造の頬が引つる。 手が微かに震えてくるのが分かる。 まずい‥‥マナーモードにしておくべきだったか! だが、もう遅い。 何処かは判らないが、自分の近くには警官が居る。今の音は完全に聞かれた! スマホを出してメールを確認しない訳にはいかない‥‥。 それにしても、光一はどういうつもりだ?  裏をかいて受け渡しをするつもりなのか‥‥でも、それでは『例の計画』が‥‥っ!  だが仕方ない、ここはメールの通りにするしか‥‥! 修造は胸ポケットからスマホを出した。 ロック画面上には『新着メッセージ有り』のマークが出ている。そして、そのメッセージを表示させると同時に、スマホの画面をやや前に傾けた。それが警察からの指示だからだ。 「警部っ! 犯人から接触がありました!」 捜査本部に緊迫した声が響いた。 「何っ!」 すでに特別捜査本部に戻っていた堂上は、飲みかけのコーヒーカップを慌ててテーブルに置いた。 「まさかな‥‥こうも早く接触してくるとは‥‥」 実は修造の座った席の上の網棚には、警察の手によってさりげなく荷物が置かれていた。 そこから、CCDカメラでスマホの画面を撮影できるようにしてあったのだ。     
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