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そして事件は動き出す
「おや‥‥? ヘンだわね? 確かにお屋敷を出る時は門をキチっと閉めたハズだけど‥‥」
お手伝いのハルが屋敷に戻ったのは、15時45分位だった。
『ヘンだ』とは、確かに閉めたはずの門が20センチほど開いていた事だ。
「不用心だわねぇ‥‥光一坊ちゃんが何処かに出掛けたのかしら?」
ふと、郵便受けに何か封筒のようなものが刺さっているが目に留まる。
真っ白な封筒で、チラシにしては違和感がある。
「何かしら?」
何気なく手に取って、中身を見ると‥‥
「えええっ! た、た、た、大変だわぁぁぁ!」
一瞬にして、顔が真っ青になる。
そして慌てて家に飛び込むと、震える手で光一の母親、美鈴に電話を掛けた。
その頃。
美鈴は、行きつけの宝石店で馴染みの店員と談笑をしていた。
なるほど名目は『お稽古』だが、そんなモノは言い訳であって、本音のところは息抜きが目的の外出だったのだ。
プルル‥‥
スマホが着信して、小さなLEDが赤く点滅する。
「ああ、ちょっと待ってて。家からだわ」
小さく溜息を吐いてから、通話ボタンを押す。
「‥‥ハルさん? どうしたの? 急な用件でなければ‥‥え?なに?良く聞こえなかったわ。光一がどうした‥‥えぇっ!」
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