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受け渡しの開始
5日が経過した。
その日の夕方、修造は軽トラの荷台に新聞紙で1千万円づつ包んだ『10億円』を乗せたまま、指示された量販店の駐車場で待機していた。
その傍らには1人だけが乗った覆面パトカーが随伴している。
すべて、メールによって犯人から指示されていた内容である。
捜査本部では、堂上が犯人から修造に電話連絡が来るのを待っていた。
「それにしても、軽トラとは‥‥。この事件の犯人は毎回、訳のわからない指示をしてきますけども、今回もまた意味の分からない指示ですねぇ」
覆面パトカーに設置されたカメラ映像を見ながら、小阪が嘆いた。
「何を言ってやがる。本当に現金をもってきたかどうかを一目で確認するには、軽トラの荷台に積ませるのが、一番てっとり早いからじゃねぇか。あれなら、遠目からでも一寸上から確認すれば済むことだ。
それにな、ヘタにセダンなんかに乗ってきたら、後部座席や荷台に捜査員が隠れることだって出来るだろうが。犯人のヤツはそこまで計算してやがるのさ。くそったれめ!」
堂上が吐き捨てるように言い放った。
「すると、パトカーは何の為に・・?」
尚も、小阪が訝しがる。
「それは知らん! だが、何かを企んでいやがる‥‥」
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