そして、みんなのために

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そして、みんなのために

「そうですとも! 遺留品だって山ほどあるし、きっと犯人を捕まえられますよ!」 小阪も気炎を上げる。 「ふふん‥‥確かに、犯人のヤツは大金を巻き上げるのに成功はしたかもしれんがな。逆にそれが足を引っ張ることになるんだ」 「分かります。現金の隠し場所ですよね?」 小阪が頷く。 「その通りよ。人目に付かずにそれだけの大金を隠すのは容易じゃねぇ。銀行に預ける訳にもいかねぇからな。ヤツはそれを使うにてしも目立たないように少しづつにしか、使えねぇんだ。 それにな。犯人は知らねぇだろうが、今回は日銀にまで話が行ってるんだ。日銀を敵に廻すとコワイぞぉ?」 堂上がニヤついた。 「そ、それが警部の言っていた『奥の手』ですか?」 思わず、小阪が息を呑む。 「あぁ、そうだ。今週中には記者発表されるはずよ」 「え‥‥何ですか、それ。教えてくださいよ!」 小阪が眼を輝かせて聴いてきた。 「ふふ‥‥まだ、内緒だがよ」 堂上が勿体をつけて言った。 「‥‥新札を発行するんだ」 小阪はあっけにとられた。 「な‥‥なんですって、新札の発行!?」     
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