しこり

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新城健一は腹を空かせて帰宅した。 帰り際に急に残業を頼むと言われたから余計に疲れたようだ。 「あれ留守かな?」 アパートの自分の部屋を外から見ると部屋の電気が消えている。 健一はガチャガチャと鍵を開けて居間に入る。 壁のスイッチを入れた。 「げっ!な、なんだ居たのか?」 電気をつけると妻の珠姫(たまき)が髪を振り乱してテーブルに突っ伏していた。 「電気もつけないで何しにしてるんだ?びっくりするじゃないか」 健一と珠姫は今年、30歳になったばかり。結婚して5年経過。 まだ子供は居ない。 「お帰りなさいぐらい言えよ」 健一は舌打ちした。 妻が何をしているかは健一には分かっている。 妻の珠姫は携帯小説を書いてサイトに投稿しているのだ。 それが近頃はスランプなのかどうやら思うように書けないようだ。 「腹が減った。飯だ」 どうせ人気も出ない小説を考えてまた悶々としていたのだろう。 「ごめん、カップ麺でも食べて」 珠姫がようやく顔を上げた。 ☆新城珠姫さんは、天王寺シリーズやうさぎさんの写真を投稿しています。著者のあしあと、または小説閲覧者から検索して新城さんの作品も良かったらお読み下さい。 https://estar.jp/users/155090890 ★ちなみに著者の読者さんでこの『しこり』に出演希望の方は連絡して下さい♪
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