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「いいわ、ではお尋ねしますが、珠姫さんは新作でも書いたの?面白い?」
敬語とため口さえ入り交じる。
それだけ梓もカッかしているのだ。
「ええ『天王寺』を改訂したの。私のイチオシの代表作はやっぱり『天王寺』しかないわ」
(まただ……)
梓はあとひとこと、あと二、三分だけ我慢して珠姫の相手をしてやろうと決めた。
それでも帰らないなら非常通報ボタンを……
「珠姫さん、天王寺は駄目だと大學館も集談社も却下したはずよ」
もうこうなったら遠慮はいらない。
梓はあんた馬鹿じゃないのと腕を組んで珠姫を憐れんだ。
「フン、前に読んでくれた人が見る目がなかったのよ」
珠姫は部屋にそぐわない大きな灰皿に灰を落とす。
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