100の男

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「急に呼び出してごめん。俺、五十嵐さんの事が好きだ!君に惚れてから100日間君を見つめ続けて俺は君の長所と短所、合わせて100個言える!それくらい君が「ごめん!無理!!」「……好きだ、絶対君を幸せにする、俺と付き合って下さい?」 ……あれ?俺の原稿用紙ジャスト100文字の完璧な告白を遮られた上に断られた、、だと? 急な展開に俺の思考は完全に明後日の方向を向いてしまっ……じゃなくて!! 「ぇ、あの……五十嵐さん、無理って何で……?」 俺の本気の質問を聞いて五十嵐さんは心底驚いたように目を見開いた。 「何でって聞く?普通にありえないでしょ!100日間見つめてとか100%(パー)ストーカーじゃん!マジキモい!それだけでも無理なのに長所と短所を100個?私には短所も腐る程あるって言いたいの?ありえない!マジ無理!」 ……マジか。 「やっぱり運命の相手は五十嵐さんで間違いない!」 「なんでやねん!?」 酷い、、、俺の感動を五十嵐さんは即座に否定した。 でも俺は負けない! 五十嵐さんの両手を握りしめた。 「だってキミのさっきの言葉は原稿用紙で表すとジャスト100文字。今まで何度か振られてきたけど、俺の告白と同じジャスト100文字で断ってきたのは五十嵐さんキミだけだ!やはりキミは違う、俺の運命の人なんだ。」 「んなもん知るか!」 またまた即座に否定された。 でも俺は負けない! だって初めて振られた相手に言われたんだ! 好きなら相手の長所、短所を100個ずつ言えるのが当然だと……。 それから俺は100に拘り続けてきたんだ。 さすがにいきなり100個も短所を言うのは申し訳ないから合計でカウントしているけど……。 「じゃあせめて100日!お試し期間だって思って100日間付き合って!それでダメなら諦めるから……」 「無理!100秒でも無理」 「そこをなんとか!!100日間!」 「無理だっつってんだろ!!しつこい!せめておおまけにまけてあんたの名前、壱家羽(いちいえば) 十雅(とうが)で1+10で11日にしろ!」 「え、そんなん無理!」 「なんでだよ!?こっちが妥協してやってんだから諦めろよ」 「俺の100%の愛のお試し交際期間はきっちり100日!そこだけは譲れない!!」 「うっぜーー!!」 俺と五十嵐さんの攻防戦はまだまだ続く。 終わり。
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