第5章

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黒谷敦史のうちに来たのは、これで二度目… お姫様抱っこされて、まるで壊れ物を扱うようにベッドに降ろされる。 「ありがと…」 「…」 「なに?」 まるで観察でもするように、じっとりと見つめられる。 その視線はなんだか意味深で、非常に気になるんですけど… 「…っんだよ」 「いや、可愛いなぁと思って」 「うるさい…っ…」 黒谷敦史はクスリと笑うと、俺の頭を優しく撫でる。 愛しそうに見つめられて、じんわりと頬が熱くなっていく。 恥ずかしいけど、それがなんだか心地良かったりして… 「ちょっと待ってろ。なんか食わせてやから」 「あんた、なんか作れんの?」 「お前よりはな~」 そう言ってフラリと立ち上がる黒谷敦史に、自然と目が追ってしまう。 ドキドキと鳴り止まない鼓動に、頬が熱くなってくるのを感じた。 来たことはあっても、黒谷敦史の部屋を見るのは初めてだし 痛む身体より好奇心が勝って、ベッドからそっと降りた。 趣味なのか高価そうなカメラが、いくつも置いてある。 「これ…俺がデビューしたやつだ…」 見覚えのあるパッケージが視界に入る。 それは綺麗に棚に保存されていて、いくつも俺が主演したDVDも置いてあった。 デビューしたての頃は、今よりも全然垢抜けてなくて… 「こんな奴のどこがいいんだ…」 ポツリと呟き、俺はパッケージを眺めていた。 「俺には天使に見えるんだけど」 「うわっ…っ!!」 「なんだよ。人を化け物みたいに…」 「あんたが…っ…急に現れるからっ…えっちょっ…」 「身体きついんだろ?大人しく寝てなさい」 黒谷敦史に担がれた俺は、またベッドに逆戻りだ。 それに…あまりにも黒谷敦史が優しくて 調子狂ってしまう………
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