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ちょ、ちょっと待って。情報量が多すぎて、処理しきれないんだが?
えーと、白髪? 若白髪って言った? 小学二年からって、ほぼ十年前じゃね? そんなに小さい頃から?
そんで三つ編みはヘアピースで。ベリーショートとマスクと眼鏡の理由が……。
「……っ、ごめん!」
松雪の眼前で、長身が折れ曲がった。
「松雪さん、ごめんっ。ごめんなさい!」
柳の謝罪の声が、松雪の鼓膜を揺らす。それは真摯で悲痛な響き。
馬鹿だ、俺。大馬鹿だ。少し考えたらわかる事だったのに。帽子からはみ出てる三つ編みがカツラかなって、うっすら察してたのに。
浮ついた理由でそれを身につける子かどうか、判断できてたはずなのに。
俺、『三つ編みの謎、プリーズ』とか、めっちゃ軽く話ふってた……最悪だ。
最低、最悪。マジ、ごめんなさい。
てゆうか泣いてないかな。どうしよう。顔見られねぇよ。ほんと、ごめ……。
「どうして謝るの? 告白は交換条件でしょ? 柳くんだって髪色のことを教えてくれた。私の質問にちゃんと答えてくれたから、私も言えたの。お互い様、です」
「松雪、さん?」
柳は、そっと顔を上げる。
二つに折った身の頭上から降ってきた松雪の声が心配していた泣き声ではなく、笑みを含んでいるように感じたから。
そうして、伊達眼鏡の奥の黒瞳と、無言で視線が絡んだ。
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