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「あの、質問してもいいですか」
神倉は黙ってうなずいた。聞き分け出来ない生徒の意見を邪見にせず耳を傾ける先生のような振る舞いだった。
「自殺のお手伝いって、自殺に見せかけて殺してくれるということですか」
「もちろん。それ以外だって可能だよ」
「それ以外? 他殺に見せかけるということですか?」
「そうだね」
神倉は平然と頷き、掌を広げて三田の顔の前に翳す。
「『渡し舟』にはいくつかスタイルがある。『傍観』、『幇助』、『模倣』、『転換』の基本的に四つの項目かな。一つずつ説明しよう」
神倉はベルトに巻いていた服と同様に真っ黒のウエストポーチからメモ帳とボールペンを取り出した。
まずは傍観ね、とメモ帳に『傍観』と記入した。筆圧が弱いのか線の細い字だったが、正確で丁寧な字だった。
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