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「心の優しさって、誰しもが持ってると思うんですね。女性なんてのは、男は優しくして当然と思っている節が少なからずあって、はっきり言って優しさだけの人って、最後には物足りなくなっちゃうんです。たぶん今までの彼女さんたちはそう思ってたんじゃないかな。だって先輩って優しさがオーラに滲み出てますよ」
「優しさだけじゃ駄目だってことだよね」
「それはもちろん。男も男で、どこか優しくしておけばみたいな節は絶対あるんじゃないですか? だけど、私はまだ先輩のこと、殆ど知りませんが、先輩は優しいだけじゃないと思いますよ。優しさに包まれて酔っている女性じゃあ、きっと気づかないところがあると思うんです。そしてそれが恋人にとって一番大切なこと」
「そんなもの、僕には無いよ」
自虐的に笑う三田を尻目に、恭香は首を横に振った。
「暖かさ、ですよ」
「暖かさ?」
「そう。優しさのような甘さじゃあ、女の子はすぐに飽きてしまいます。だけど、それだけじゃなくて先輩は暖かい。心というか全体的に、女は温もりを求める生き物なので、先輩は武器を持っていると言っても過言ではありません」
「過言な気がするなあ」
恭香はむすっと頬を膨らまし、頬杖をついた。
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