変わり果てた大切にしていた愛しい後輩 side 大地

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悠希のプレゼンが終わると、他の発表者が肩を落としている様子がみえた。 社長や副社長や、クライアント先のお偉いさん達も大きな拍手をした。 悠希が入社1年目でほぼ全ての大きな建築物の設計を行い、社長賞どころか、日本の建築デザインの特別賞も受賞したと、雅樹が言っていた。 俺が大学院時代のデザインに似た感じで、俺の教えを見事に物にした悠希。 最後は、俺が飛び入りでプレゼンを行う。 悠希のプレゼンを見ても、負ける気がしない。 アメリカで4年修行し、俺は世界的な建築デザイン賞を何度も受賞している。 プレゼンのパワポも資料も格段とできが違う。 俺の登場に、1番後ろの席に座り、ポカンと驚愕した顔を浮かべ、俺のプレゼン後は、能力の差に呆然としていた。 プレゼンが終わり、社長と副社長がクライアントを見送りに行き、専務の雅樹が、前の壇上に立ち、建物デザイン部の一級建築士達の前で俺の事を紹介した。 今日付けで、俺は建築デザイン設計課の課長に就任する。 それを聞き、悠希はまた、驚愕し、そして気落ちしていた。 大学の先輩としてだけの再会なら喜んでくれただろう。 俺がアメリカに発つ前夜に、悠希にした事は本当に最低だった。 謝って許して貰えることではない。 理解はしている。 どっからどうみても男にしかみえない悠希。 もしかしたら、俺のせいで、女の自分が惨めだと思い、男みたいな身なりをするようになったのかもしれないと、ふと思った。
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