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瑞希は視覚障がい者用のカリキュラムがある学校は選ばずに、春咲高校に復帰した。それには同じ部屋まで悟がついていることが大きかった。
幸いにも春咲高校はバリアフリーが充実していて、便利ではないが危険は少なくなっている。点字の勉強などもあったが、体育や美術など自習になる時間もあったので、うまく時間を使っていた。
「お前の人生、俺のためにあるんじゃないんだぞ」
「知ってるよ。やりたくてやってるんだから、いいの」
「そうかよ」
瑞希も悟も、名目上は陸上部に復帰した。顧問に事情を話したら、時間を区切ってグラウンドの一部を貸してくれた。
瑞希と一緒に行動するため、悟が部活をさぼることはなくなった。トレーニングも真面目にやっている。
「自分の練習はさぼってたのにな」
「瑞希と併走するなら瑞希より先にスタミナきれたら困るじゃん」
悟は併走の練習会に通って覚えてきたらしい。
実際、”きずな”で繋がれた悟が隣にいると思うと、瑞希は怖さを払拭して走ることができた。最初は砂浜で。次はグラウンドで。いまでは瑞希も一緒に併走練習会に毎週参加し、公道でも走れるようになってきていた。
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