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「スタミナきれるって、いったい何キロ走るつもりだよ」
「42.195キロ」
「はっ？」
「だから、42.195キロ。いつまでもペース落ちない瑞希の走りを活かすのは10000mじゃ足りないんだよ」
自信のある口調で悟は言った。
「砂浜で走ってた頃、ときどき休憩挟んでたでしょ？」
「あ、ああ」
「瑞希は俺の方が速いって思ってたけど、俺ほんとはずるくて。これ以上走ったら捕まるっていうタイミングでいつも休憩にしてた」
「そうだったのか」
全然、気がついていなかった。お互い体力がついていくにつれて年々休憩の回数は減っていったけれど、いつもどちらともなく休憩に入っていると思っていた。言われてみれば、悟の方が息を切らしていたかもしれない。
「でも俺……」
「できるって。練習したら、また公道走れるようになったじゃん」
「そうだけど」
「先生が大会について調べてくれて。来月あるらしいんだけど、まずは一番短い５キロの部で走ってみない？」
「……できると思うか？」
「じゃなきゃ断ってる」
「そうか。悟がそう言うなら、出てみるかな」
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