未来へ

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* 「瑞希、あと300mだよ!」 「おお!」  猛練習を重ねて、大会の日を迎えた。ゴールはもう間近。  心肺機能を鍛えていたのが幸いし、公道での走行に慣れると距離を伸ばしていくのにはあまり時間はかからなかった。ブラインドマラソンは集中力と精神力を要するが、悟のおかげで安心して走ることができる。  脚を前に運ぶだけの遊び。ずっと繰り返してきたその動きは、いまは隣を走る悟と”きずな”で結ばれている。  風を切って前に進む。悟と並んで走る。いろいろなことがあの頃と変わっても、それはずっと変わらない。  悟の指示で最後の角を曲がったところで、悟が言った。 「あと50m! ゴール1番のりだよ」 「よっしゃ」  体力には余裕がある。悟と話してペースを少し上げる。  残り10mをきったところで瑞希は”きずな”を離した。 「いけっ! 瑞希!」  ぶわっと潮の香りがしたような気がした瞬間、瑞希はゴールテープを切った。
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