隣の彼 

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いつものように男の子が屈んで女の子の前髪にそっと唇の影を落とす。 バイバイと小さく胸の前で手を振った女の子の頭をポンポンと撫でてから男の子はおりた。名残惜しいが仕方がない。 だんだん遠ざかる男の子の姿を女の子は見届ける。窓の向こうでは女の子が見えなくなるまで立っている男の子が見えた。 そして窓から見える景色が遠く遠くへ流されていく頃に小さく息を吐いて、空席がないか視線を泳がした。幸いなことに英単語帳で勉強をしている男の子の隣が空いていた。 紺色のブレザー。 この辺りではちょっと偏差値高めの進学校の制服だ。 スカートを押さえながらゆっくりと女の子はその隣に座る。
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