あんぱん

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「あの…」 私の声におばあさんは微笑む。 「一つお伺いしたい事が…」 おばあさんは店の中にある長椅子にゆっくりと座った。 「何かしら…」 そしておばあさんは自分の横に私を招いてくれた。 「おばあちゃんが言ってたんですけど…」 私はおばあさんの横に座った。 おばあさんはゆっくりと頷く。 「おばあちゃんが空を見上げて、今日はあんぱん日和だって言ってたんです…。あんぱん日和って一体何ですか…」 それを訊いて、おばあさんはクスクスと笑い始めた。 そして口を手で隠し、その笑い声は次第に大きくなって行った。 「喜代子さんが…。そんな事を…」 そう言ってまた声を上げて笑った。 何、どうしたの…。 訊いちゃいけない事だったの…。
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