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「おい、食パン、上がったぞ」
店の奥からお爺さんが顔を出してそう言った。
「はいはい」
おばあさんはゆっくりと立ち上がって、
「ちょっと待っててね」
何故か小声でそう言うと店の奥に入って行った。
しばらくすると焼き立ての食パンを入れた箱を持っておばあさんは出て来た。
「あんぱん日和ね…。そんな事を言ってたのね…」
おばあさんはお茶を入れて私に出してくれた。
「ずっと気になってて…」
おばあさんは小さく何度か頷いた。
「お爺さんが聞いたら気分悪くするといけないから…」
おばあさんは小声で言い、店の奥を気にしながら話を始めた。
「ここのパンはね。お爺さんが一人で作ってるのよ。だから沢山は作れないの…。機械も入れてないから、昔ながらの手作り。唯一私が任されているのがジャムパンの苺ジャム作りね…」
おばあさんは湯呑を取るとお茶を一口飲んだ。
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