入学をしてから僕等は。

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「何言っているんだ、可愛いのは君だ。」 「前から言ってるけど、お前は一度眼科に行くべきだ。」 「事実だ。」 入学希望動機はどうであれ、学園に入学を果たすことが叶った俺達。校内の独特な風習や、破天荒そうな主人公候補の少年を巡り大きく状況が変化しつつあるのは、関係無い一般生徒である俺達も肌で感じとることが出来た。入学の切っ掛けとなった大親友の慶ですら若干引き気味ではあるが、彼の言う王道学園小説のシナリオ通りであれば今後もまだまだイベントが発生するらしい。 自分は一切関わりたくないが、イベントを一番遠くから眺めていたいという良識から道を外れ掛けても尚、潔過ぎるお願いに付き合ってしまう俺は一生彼には適わないのだなと思えた。今日みたいな雑踏の一人、要はモブキャラである程度の巻き込まれなら別にいいか、と思えてしまう辺り似た者同士なのかもしれない。 「明日からまた楽しみだな輝。」 「慶がいればなんでも楽しいよ、俺は。」 可愛い相棒が可愛いから疲れが吹っ飛ぶんだ。そう思いつつ思いっ切り彼の髪をわしゃわしゃしたのであった。 入学をしてから僕等は。完
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