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他の生徒が茶髪や黒髪の中唯一の金髪を持つ人物。俺にこの学園に入学するよう全力で勧めてきた張本人、慶・ボスフェルト。頬を赤くさせてソワソワしている。傍から見れば入学した事に心がワクワクしている様に見えるだろう。確かにそれは事実だが、全てがそれではない。あいつは最近流行りのボーイズ同士がラブをする系の話が大好きな男子である。故に、彼の思惑通りなこの環境に心が高鳴っているのだ。彼の席の周りの住人も一等目を引く容姿に対しちょいちょい話しかけているが、本人は心ここに在らずと言った対応である。結局自分の味方は自分しか居ないのかと、深けそうだった最中。
「おいお前ら、廊下にまでうるせぇ声が響いてんぞ。」
そんな気だるげな声と、閉まっていた扉が開かれるのと同時に聞こえてきた。
キャーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
「うおっ?!」
「…わぁ?!」
甲高い声も序に、だ。待って待って、本当にここって男子校だよな。俺女子校と間違えていませんか。まだ俺たちの身体は発達途中だが、確かに列記とした男性型であるはずだ。なのにどうしてそんな甲高い黄色い声が出せるんだ。男性アイドルを目の前にした女性のそれだ。同じなのか?恐る恐る隣の生徒を盗み見る。見なければ良かった。両手を胸元の前に祈るような形で組み、完全に恋をした眼差しで担当教員を視界に捉えていた。人にはそれぞれ有るよね、と出かかっている言葉を押し殺す事に決めた。
「今日からこのクラスの担任になった溝内太郎だ。下の名前を余り呼ばないように、呼んだら俺は許しません。担当教科は英語だ。今日はこれから時間的に昼食になる。その後は通常授業を始める。全員教科書は届いてるよな?まだだって言うやつは昼休みやら放課後に俺の所に来い。それじゃぁ、今年度の授業日程表を配るぞ。」
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