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プロローグ
人生何が起きるかなんて誰も予測をつけることは出来ないものだなぁと、高校一年の春になって悟る時が来るとは俺自身も思わなかった。駄目で元々な心持ちでこの学校の特待生受験をしてみたが、まさか受かるとは。正直なところ、中学の先生もそれこそ両親、そして俺自身落ちると思っていた。大人達は言葉にはしなかったが、当時の学校側の偏差値と俺自身の学力を照らし合わせてみれば一目瞭然だったのだから。だが受かってしまったのだ。奇跡としか言い様がない。いやでも、一人だけ。たった一人だけ最後まで俺がこの学園に受かると言い張って信じていた奴がいる。俺よりも頭が良い奴だ。最近は少し常識と言う道から外れているが、とっても良い奴で大切な存在だ。そいつは入試が終えても尚、真っ白な珠の様な頬を赤くさせながら自信を持って伝えてくれた。
『大丈夫だ!!君はぜっっったいに合格する。だってあんなにも頑張っていたじゃないか。』
『そりゃぁ、まぁな。』
『だからその頑張りは無駄になることは無いさ。それに…。』
『…なんだよ。』
『大親友っていうのは離れちゃいけないんだぞ。僕と君は離れちゃ駄目。出会った時から僕が決めたルールだ。』
『俺聞いたことないんだけど。』
『当然だ、今言ったからな。』
だから僕達は一緒に学園で生活をするのは決定事項だから、安心して結果発表を見に行こうねと言い、その日は仲良く手を繋いで地元に帰ったのだった。確かに俺とあいつは大親友といって間違いない。俺が足りない部分を彼が埋め、彼が足りないものを俺が埋める。持ちつ持たれつつなフェアな関係だと自負している。前世は双子だったと言われても違和感はない。だからか、あの時言われた言の葉はストンと胸の中に落ちて、きっと効力が増したのだろうなと思う。言霊っていうんだっけか。彼が俺の未来に力をくれたんだ。だから奇跡が起きて、俺は学園にまさかの希望通りに特待生で入学することが出来たんだと思う。
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