そこそこ日和

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赤札の納豆がなくなってしまい、悔しい気持ちでいっぱいになった。たった1個が欲しかっただけなのに、3個全部奪われてしまった気になり、心の底で、沸々と怒りが煮え立つようだった。 (ひとつぐらい残してくれてもいいのに……) 棚を照らす白熱灯が、しらけて眩しい。目を叛けるとステンレスの棚枠に映った自分と目が合った。 いや、これは罰だ。きっと罰だ。ロックオンした瞬間に、購入した気になった罰が当たったのだ。全能の神が悪魔を遣わし、こちらの思惑を挫かれたのだ。欲望を抑えろ。欲望に負けるな。欲望を討てということを告げているのだ。平和が崩れぬように、戦争が始まらぬように。
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