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そろそろ君の視界から僕がいなくなったころだろうから、正直に話そうか。
君にフラれたあの時、僕は君を呪いたくてしかたがなかったのだよ。地べたに頭を擦り付けて僕に懇願しなきゃならないくらいに後悔させてやろうと思ったさ。
けれど、それをするためには君を欺かなきゃならないだろう? だから、僕は君の前では女の子らしく寂しがっているふりをしていたのさ。
寂しがっているふり、だったのさ。
けれど、それはいつしか、僕の本当になってしまってね。
僕の寂しさが癒えた頃には、君はとっくのとうに他の女の子といちゃついていたよ。
あぁ、それはもう失望したさ。絶望ではなく、失望だね。君という人間に呆れ果てたさ。
そして同時に僕という人間に呆れ果てたさ。
いや、もしかしたら僕は人間じゃないのかもな。
だって、こんなに君のことしか見えていないだなんて、おかしいだろう?
だから、君に最後の贈り物をしよう。
これは、僕が君に送る最後の贈り物で、約束で、
そして、最初で最後の呪いだ。
呪縛、と言ったほうが正しいかもね。
君に、もう一度この言葉を贈ろう。
『君に好きな人ができようと、彼女がいようと、僕には関係ない。僕はバカの一つ覚えみたいに君のことしか見えちゃいない。けれど、この自分勝手な気持ちを君に押し付ける気はないから安心してくれ』
『後悔、するなよ』
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