島田魁の夢幻

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しかし、いつもの道順で巡回しているものの病み上がりの身体で歩き回るには西本願寺の境内はあまりにも広い。 「よっこらしょ」 島田は荒くなった息を整えようと本堂へ上がる階段に腰を下ろした。 身体が温まったわけでもないのに額から溢れる汗を拭うが、その手にもじっとりと汗が滲み出ている。 はぁ・・・ 一つ大きな深呼吸をしてみる。 溜息にも似たそれは静まり返った境内で物寂しく響き、暗闇へと消えた。
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