メッセージボード

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 私は主婦、A型である。よく気が付くと同時に、周りの目をやたら気にしたり、協調性に富むが、裏を返せば八方美人であったり、筋の通らないことには巌として立ち向かう一方、自分の考えを人に押し付けてみたりする。人の性格はいとも複雑である。それはまあさておき、話はつい先日のことに飛ぶ。パート先のコンビニでレジに立っていると、おばあちゃんがバスのルートを尋ねに入ってきた。行先の病院の名を告げられると、私も馴染の病院である。ついつい、 「そこのバス停に来るバスは、全部その病院の前を通りますよ」 「あ、そうですか、ご丁寧にありがとうございます」 「いえいえ、お気をつけて」  だが後に、通らないバスもあることが判明。うっかりと思い込みから、やってしまったのである。  ところで、私が働くコンビニでは、オーナーの方針で、店頭にメッセージボードを置いている。例えば、 “「花冷え」などという言葉がございます。すっかり陽気は春めいてまいりましたが、皆さま、急激な気温の低下には体調を崩されませぬ様、くれぐれもご自愛下さいませ”  みたいなことを毎日、手を変え品を変え黒板に書き記すのである。今週の当番は私。バスルートを聞かれて嘘を教えてしまった私は、贖罪の念から、毎日の一言に追記の形で、こう加えた。 “いつぞや、〇〇病院へのバスルートを尋ねに来られた女性の方、間違いを教えてしまいました。お詫びを申し上げたいです。もしよろしければ、名乗り出ていただけないでしょうか”    それを一週間、消さずにおいた。  そして遂に、おばあちゃんは現れた。だが話は、意外な方向へと進む。
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