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第2章 姫の鏡
マルガ姫は早速包みを開けました。中には黒檀と象牙で縁取られた、美しい手鏡がありました。
「わあ!綺麗!」
姫は大きな瞳を輝かせ、鏡を手に取りました。そこには、とても可愛らしい少女が映っていました。姫は鏡に向かってにっこり微笑んでみました。
「・・・」
鏡には何も現れず、何も言ってくれません。ふと見ると箱の中に、カードが1枚入っていました。
「何これ?“簡単セットアップガイド”?」
姫は椅子に座り、鏡を顔の前に立てかけました。
「えっと、まず起動ね。『鏡に向かってシュピーゲル、シュピーゲルと2回呼びかけます』ふむふむ。『警告 10回間違えると3時間起動しません』なんだこれ?」
とにかく姫は鏡に向かって呼びかけました。
「シュピーゲル、シュピーゲル」
すると鏡にぼやけた男性のシルエットが映り、話し出しました。
「ヨウコソ、ハジメマシテ」
「あ~、はじめまして、こんにちは。なんかしゃべりかたぎこちないね。初期不良かな?」
「イエ、ワタクシハ“デフォルト”デス」
「何?誰?」
「“ショキセッテイ”デス」
「そう?」
「ハイ、オスキナ“モード”ヲエラべマス。ソレゾレ1カイ、タメスコトガデキマス」
「そうなんだ。何があるの?」
「ハイ、“ピンクノバラ”モード、タメサレマスカ?」
「ピンクのバラ?何それ可愛い~。やってみる」
男性のシルエットがぼやけ、続いて執事風の男性が現れました。男は現れるやいなや、矢継ぎ早にしゃべりはじめました。
「姫さま、初めてお目にかかります。わたくし、姫さまの鏡を担当させていただきますシュピーゲル・ローゼンローゼと申し・・・あれ、あれ、あれ?なんと美しい姫さま!いや、ほんとですか?こんな美しい姫さまにわたくし仕えさせていただけるのですか?身に余る光栄!鏡冥利に尽きるとはこのことでございます!」
「う~ん、嬉しいけど・・・なんだかな~。お継母さま、絶対“ピンクのバラ”モードだわ。・・・“鏡冥利”って、定型文なのね・・・。声裏返ってるし・・・。だめ、次!」
執事風の男は下から見上げてニコニコ微笑みながらぼんやり消え、男性のシルエット、デフォルトが現れました。
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