第4章 ビューティーランキング

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第4章 ビューティーランキング

 シュピーゲル・ヴァイセローゼがスリープモードになり、マルガ姫はササっとお化粧を直すと、呪文をとなえます。 「シュピーゲル(鏡よ)シュピーゲル()」 「・・・」 「シュピーゲル(鏡よ)シュピーゲル()!ちょっと!!」 「わわわ、姫さま。失礼いたしました。ウトウトしておりました」 「もう!準備できたわよ!」 「では、わたくしちょっと横にずれますので、この鳩の印を見ててください」 「ハト?あの~、気球の絵があるけど、見ればいいのね?うわ!何か風が目に飛んできた!」 「すみません、眼圧測定モードになってました」 「何それ、もう、目がショボショボするわ」 「これ、見えますか?」 「なんかたくさんC(ツェー)が並んでますけど」 「ランドルト環です。隙間はどっちですか?」 「え~っと、右!」 「はい、1.5です」 「何やってんの!」 「失礼しました。これです、鳩のマークです」  マルガ姫は気を取り直してにっこり微笑みます。可愛らしい素直な笑顔、亡くなったお母さま譲りの優しい美しさは、まるでピンクのバラ(・・・・・・)のよう・・・・。ピンクのバラ? 「はい、エントリー完了です。わわわ!ほんと姫さま?もう、そこらへんのアイドルなんか裸足で逃げますね!あ~この笑顔を見たらプロダクションが黙っていないですよ、来年はハリウッド版にエントリー・・・」 「ちょっと!絶対ピンクさんでしょ!あっち行って!」 「失礼いたしました。スリープモードから戻るときに若干バグってしまうようです」 「もう!」 プンプン怒っても可愛いマルガ姫でした。 「でさ、ランキングは?」 「はい、かしこまりました。では、姫さま、お言葉を」 「えへん、シュピーゲル(鏡よ)シュピーゲル()、世界でわたしは何番めに美しい?」 「・・・」 「あの~?」 「姫さま、すみません。また圏外です」 「え~、エントリーしたのに?」 「はい、1000番以内にはおられないようです」 「うぇ~ん」 ヴァイセローゼは何やらごそごそ確認しています。 「姫さま?先ほど何と検索いたしました?」 「え~っと、『世界でわたしは何番目に美しい』って」 「『世界で』ですか。少し検索範囲を狭めてみてはいかがですか?」 「検索範囲?」 「そうでございます。とりあえずヨーロッパとか神聖ローマ帝国とか・・・」
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