第3章 シュピーゲル・ヴァイセローぜ

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第3章 シュピーゲル・ヴァイセローぜ

「ヴァイセローゼさん、ちょっと聞いていい?」 「はい、何なりと」 「ふんふん。白バラさん、安心感あるわ」 「光栄の至り」 「あのね、ピンクのバラさんって知ってる?あの方ってどういうキャラクター設定なの?」 「ローゼンローゼくんでございますね。設定は“心にもないお世辞”でございます」 「うひゃ~、何それ!お継母(かあ)さまは知ってるのかしら?」 「ご存知かと・・・」 「知ってても嬉しいんだ。あんなにきれいでも」 「奥方さまは国元を離れられてお寂しいのかもしれません。女心にございます」 「そっか~。あれれ?でも、シュピーゲルさんたちは嘘をついてもいいの?」 「世辞は嘘ではございません」 「じゃあ、きれいでもない人にもきれいって言っていいの?」 「主観的な印象であり、個人の感想です」 「インチキ通販みたいだわ。じゃあ、ヴァイセローゼさんはお世辞を言うの?」 「わたくしはそのような設定ではございませんので」 「じゃあ、じゃあ、わたしって可愛い?」 少し間があって鏡の男は答えました。 「姫さまのお肌は雪のように白く、黒檀のように艶やかな髪と吸い込まれるような瞳。国中の民が愛らしいマルガレーテ姫をこう呼んでおります。“白雪姫”と!」 「わあ嬉しいこと!でも、ちょっと間があったのが気になるわ。もしかしてピンクさんチラッと出てきてない?」 「バレましたか」 「そうなんだ・・・。ヴァイセローゼさんはうそつけないもんね。でも、いいよ、時々ピンクお願いします」 「かしこまりました」 「でさ、2番目の黒バラさんってどうなの?」 「シュヴァルツ(黒い)ローゼ(バラ)くんでございますね。設定は“サディスティックな言葉責め”でございます」 「何それ?需要あるの?」 「一部の奥方さまには絶大な人気が・・・」 「大人の世界だわ・・・。黒バラさんは出てこないようにしてね」 「かしこまりました」
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