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6
ひどい気分だった。胃の中の物が飛び出していかないのが不思議なくらいだ。頭の中で巨大な金槌を打ちつけられているような鈍い音と痛みが続く。
目を閉じても開いても同じような暗闇が広がっている。背後から届く緑色の光を見ようと重い身体をよじり――失敗した。後ろ手に何かで縛られている。
「ここは……」
ようやく闇に慣れてきた目を何度もしばたかせる。身体の両脇に白い壁が迫っていた。いや、これは壁ではなく――薬品棚だ。首をねじって上を見上げる。ガラス戸に先ほど見ようとした緑色の光が反射していた。非常口の灯りだ。
ここは形態研究室で所有している、危険度の高い薬品を保管する部屋だ。そうと気づき、口からおかしな笑いが漏れた。なるほど、ここならすぐに誰かが来るということはないだろう。この部屋の鍵を持っているのは、蔦川室長しかいない。
***
最初にシンが運ばれた場所の隣の部屋で、そのアルファは眠っていた。
部屋のつくりは大きいはずだが、今は複数の医療スタッフが彼の周りを取り囲んでいて少し窮屈に見える。
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