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 ちくりと刺さったのはシンの伸びた牙だった。犬歯の上部を舌先でくすぐる。隙間から必死に空気を取り込もうとしているのがわかるが、苦しげな声が漏れ出るだけだ。口の端から滴る雫を吸い、下唇を食む。 「ッあ――」  唇を離し、視線を落とす。張りのある生地で作られた下衣の中心が、わずかに持ち上がっているのを確認する。シンはハッと我に返ったように青ざめた。 「大丈夫だ。怖がらなくていい」  何度も、念を押すように伝える。やわらかな髪に指をとおし、「俺に任せてくれないか」と問いかける。 「嫌なら、すぐに言うんだ。俺はおまえが嫌がることをしたくはない」  濡れた黄金の瞳が静かに揺れ、閉じられた。  * 「う……あぁ、あ――」  露出したシンのものをやわらかく握りこむ。上下にゆるく扱き、先端のくぼみに指をすべらせる。ちいさな孔の上で、透明な粘液が丸く膨らんでいく。  迷った末に、俺は自分の脚の間にシンを座らせた。胸に背をもたれかけさせ、細い脚を開かせる。硬く閉じられたまぶたに唇を落とし、「力を抜くんだ」と諭す。  指に湿った感触が流れてくる。決壊した先走りがまとわりつき、指の動きを助ける。はじめは押し込められていた声が、動きに合わせて徐々に開放されていく。  だが、肩の力は抜けず、指が白くなるほどシーツを握りしめ、突っ張る腕は細かく震えている。反対に、シンのペニスはまだ完全に硬くはなっていない。 「ふ、アアッ――」     
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