たとえそれが君にとってはただの一日でも

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『好きな人とかいないの?』 君のその一言は 少し残酷で あまりにも眩しい笑顔で聞いてくるから 『いたって言わねー』 俺も笑って答えた 多分この恋が叶うことは きっと無い 「遊園地?」 「うん。いつものメンバーで」 俺と勇気と濱ちゃんの3人組で 俺らはよく遊びに行ってた 「まぁいいけど」 「勇気に告白しちゃえば?」 こうやって考えなしに物事を言う親友が 俺は嫌いじゃない 「何話してんの?」 「お、ナイスタイミング」 この空間は心地よくて 壊すにはあまりにも勿体無くて 壊すにはあまりにも勇気が足りなくて ぬるま湯に浸るように3人でいる 切ない恋 報われない思い 身を引いた恋 それってそんなに美しいのだろうか 届かないと意味がない 叶わないと意味がない 壊れるくらいなら 俺はずっと片思いでいい 「じゃあ俺ジェットコースター乗りまくってくるから2人で遊んでて!じゃあな!」 下手くそかよ 「…なんか乗る?」 「観覧車、とかどうよ」 「いいけど」 「おー結構綺麗だな。夜からきて正解だったかもな」 「そーかもな」 楽しくて 少し欲をかいたのかもしれない 「そんなに気に入ったんなら来週もくる?来週からライトアップ始まるんだってさ」 「マジで?行く行く!じゃあ来週の日曜日にしようぜ!」 あまりにも君が 屈託のない笑顔で答えるから 「日曜日な。了解」 俺はそれにつられて 笑ってしまう 「なぁ、好きは人いるの?」 あの時の君みたいに 笑顔で聞いた 君とは比べものにならないくらいに 薄汚れた笑顔で 「…いるよ。まじで好きな人」 そしたらやっぱり 綺麗な笑顔で君は答える 「変って思うかもしれないんだけど、聞いてくれる?」 「うん」 だって俺も充分変だから とは、流石に言えないけど 「俺さ…濱ちゃんのこと好きなんだよね」
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