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リンの指に注目しなおす。
薬指のマニキュアにも図柄があった。
横に二本線、縦に一本線のマークだ。
簡略化した電柱のマークにも見える。
「いくよ」
ぱちんぱちんとツメを切る。
やすりで仕上げる。
「いい?」
「うん、いーね」
続いてリンは薬指をしまって、中指を立てた。
「ちょっと待って!」
わたしは叫んだ。
「え! なに?」
わたしが大声を出したのでリンはびっくりしたらしい。
しかし、中指を立てた右手はそのままだった。
「いや、この手の形はファ××ユーだよ!」
「どういう意味?」
「外国ではこれを出したら、大変なことになるから!」
「ふうん」
「いや、だから、やめた方が」
「でも、ここは日本じゃん」
「そ、そうだね、たしかに」
わたしはぱちんぱちんとツメを切った。
やすりをかける。
「これでいい?」
「オッケー」
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